大学院留学最初のセメスター その9

2013-12-11

CATEGORIES 大学院留学最初のセメスターby.Katsurayama0 Comments

今回は、前回の投稿

 

大学院留学最初のセメスター その8(2013年12月9日)


でのAご相談に対する、Aさん及びAさんと似たような状況にいらっしゃる方への回答、その1です。

 

留学を目指している多くの方は

留学をしたら自分の英語力は劇的に伸びていく

と考えています。しかし、実際に留学をしてみると

留学生活を送っているが、英語力があまり伸びていない

という結果になることが多いと言えます。

 

なぜか?

 

決して「伸びていない」ということではありません。

例えば、仮に

「授業以外の時間は、いつも日本人と過ごすことが多く、授業外で英語をほとんど使うことがない」

ということであっても、授業時間は英語のシャワーに囲まれ、また課題のために文献や記事を読み、論文を書いていれば、確実に英語力は伸びます。


しかし、現実には「『期待したほど』伸びていない」と感じる。

 

「毎日それなりの時間、英語を使っているはずなのに ...」

 

英語に囲まれている時間があれば、英語を使う機会があれば、英語力がどんどん上がっていくというものではありません。


例えば、授業時間、先生やクラスメートの英語が80%くらいしか理解できない場合、自分が消化できるのは、最大その80%の部分のみ。

 

80%くらいしか理解できない場合、理解できなかった20%の部分が気になって、そのことについて考えたり、推測したりして、また自分に発言が回ってきた場合に備え、どのような話をすべきか、どのような表現を使うべきかを考えたりしていると、理解できるはずの80%が十分に消化できなくなってしまいます。

 

また、理解できない部分がちょこちょこあると、得られる情報が虫食いのような形になり、相手が言っていることはなんとなく理解できても、細かな部分までは取れないため、記憶に残りにくく、相手の話を再生することができないことも多くなります。

 

TOEFLのListeningセクションでは、問題内容の理解度が80%くらいだったとしても、選択肢から正解になりそうなものを選べればOKとなります。
TOEFL Speaking、Writingには、Listening力が求められるIntegrated Tasksがありますが、そこでは、Speakingなら3(Speakingで3平均が取れれば23点)、Writingなら4(Writingで4平均が取れれば25点)が取れれば、100点レベルになり、有名大学・大学院への留学が可能です。

 

つまり「聞き取れていない」「上手く話せない」「上手く書けない」ところが少しあっても、TOEFLで高得点を獲得できます。

 

しかし100以上のスコアを取った人が、留学開始後に求められるのは、Speakingなら 4、Writingなら5の満点レベルのパフォーマンス。
結果、自分の英語力と、求められる英語力や周りの英語力との差に苦しむことになります。


実際に、Aさんは以下のように感じられています。

「現在は留学して、3か月目に入り、最近、自分の英語力の低さと、それにより、そのほかのスキルも全く成長していないことを実感し、大変残念に感じています

9月にプログラムが始まり、しばらくは自分の状態について考える余裕もなかったのですが、ここ最近、学校での活動(ケースコンペティションや日々の宿題等)において、クラスメートと力の差を実感することが大変多くなりました。」

 

このように「全く成長していない」と感じてしまうのは、実は英語を使っている時間、フルに英語を吸収していないから。


課題の本や記事を読んでいるときも、そこで求められるのは「その内容を理解すること、その内容に対して自分の意見を言えるようにすること」であり、英語という言語を吸収しているというよりは

英語を通して情報を得ている、また得られた情報をまとめたり、情報に対して考えたりするのに日本語を使っている

ということが多かったりするかもしれません。

 

よって、授業への参加や準備によっての英語力の劇的なアップは、実は、あまり期待できないことも多いのです。


でも、そうであって当然とも言えます。

 

例えば、MBAのプログラムなら、そこでのカリキュラムはビジネスの分野における能力の向上を意図したものであり、留学生の英語力アップを狙ったものではありません。
MBAの内容を理解するのに十分なだけの英語力を備えていると判断されたからこそ、Aさんは合格したのであり、学校・プログラム側は、留学開始後のAさんの英語力アップを期待してはいないでしょう。
(学校やプログラムによって異なりますが)

 

でも現実には、Aさんのように英語力の不足が障害となって、自分が学びたい専門分野の習得に支障があったり、プログラムの中で十分に活躍できなくなってしまうことはありえます。


どうするか?

 

まずは自分の英語力不足は現状として致し方ないものとして認める。
また授業への準備・参加だけでは英語力はあまり上がっていかないと認識する。


確かにTOEFLやGMATで高得点を取ったからこそ、Aさんは合格を勝ち取られました。
「高い英語力」を持っていらっしゃるのは確かです。

 

しかし、クラスメートは、英語が母国語でなくても

 

小学校や場合によっては幼稚園から英語を使い始めていた
母国語の文化があまり強くないため、小さい頃から英語のテレビや音楽などに触れたり、英語の本を読むことが多かった
大学での多くのクラスが英語で行われていた
学校の外や仕事で英語を使う機会が多かった

 

などと、TOEFLのスコアではあまり変わらなくても、これまでに英語を使ってきた時間は圧倒的に違っていたりするのです。

 

またノンネイティブのクラスメートたちは、TOEFL対策をろくにせずに、1、2回受けて、志望校が必要とする目標スコアが取れたからTOEFLは終了としたという方も多いはずです。
(よってTOEFLの点数が同じくらいだからと言って、英語力が同じくらいと判断はできません。)

 

同じノンネイティブであってもそのようなバックグラウンドの人たちの英語力と比べ、自分が劣っているように感じても当然と言えます。

 

この差は、長年に渡る積み重ねによって培われたものであり、すぐに同じレベルまで到達するというものではありません。
留学終了時に彼らと同じレベルに到達するのも難しいでしょう。

 

でも「じゃあ、ダメだ」と諦めるのではなく、自分の現状を認め、留学期間終了までに現在の英語力を最大限アップさせることを狙いましょう。


どのようにアップさせるかは次回以降にお話しますが、

何よりも大切なのは「できない」とネガティブにならないこと。


単語力が「圧倒的に少ない」
英文を読むとき「時間がかかる」
ディスカッションに「積極的に参加できない」
話を「聞き逃してしまう」、「発音についていけない」
「レベルが低く、カジュアルな文章しかかけない」
ディスカッションで「普段の会話の半分以下のスピードでしか話すことができず、文法も正しく話すことができなくなり赤ちゃんや幼児のような片言な英語になってしまう」「無理やり翻訳したような英語になってしまう」

のは当然であり、「なぜできないのだろう?」と考えるべきことではありません。

 

「できない」のはあなたのせいではありません。

もともとの極めて高い英語力を持っている人たちが多いクラス/プログラムに入ることになってしまったがために発生した問題です。


断っておきますが、私はAさんの英語力を「非常に高い」と思っています。

例えば、AさんのSpeaking力は22-26と22を下回ったことがありません。
トータルのスコアも102か103がほとんどで安定しています。
もう少し受験回数が多かったり、問題に恵まれれば105以上のスコアが取れていたはずです。

 

そんなAさんが「できない」ことばかりと感じられている第1の理由は

クラスメートの英語力が高い

からです。

 

英語ノンネイティブが多くを占めると推測されるクラスメートの英語力がもっと低ければ、Aさんは他の人と比べ、自分は「できる」と感じられたはずです。


クラスの中で自分の英語力は相対的に高いと感じられていれば、現在のように追い詰められることはなかったでしょう。

 

でも現状はそうではなく、周りと比べ「できない」と感じる部分も多い。

しかし、そのような環境だからこそ、Aさんは自らの英語力を今後、飛躍的に伸ばしていく可能性があると言えます。
(クラスメートの多くが英語ネイティブである環境にいる場合も同じです)

周りが自分と同じレベルであったら、現状に満足して、更なる向上のための努力を怠りがちになるものです。


現状として、周りと比べると「できない」ことが多いと認めながらも、そのような過酷な環境にいることを、能力を飛躍的に上げるチャンスと考え、自らの状況を歓迎しましょう。

現在の状況をできるだけポジティブにとらえることが何よりも大切と考えます。


次回は、そのような過酷な現状において、どのように自らの英語力を伸ばしていくかについて書きます。

 

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