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【改訂版】TOEFL iBT試験の出題形式を2019年7月以前の旧形式と比べながら確認しましょう

以下、過去記事の内容を改訂したもの。

 

3年前の2019年8月からTOEFL iBTの出題形式が変わりましたが、知っておくべき変更点をお伝えします。
以前の形式を覚える必要はありませんが、これから本試験を受験する人にとっては現在の出題形式を知るのに役立つ部分もあるかと思います。
(現在のListeningの形式に関してTwitterで質問いただいたので、この記事を再掲することにしました)

 

1.Readingはどう変わった?

 

新TOEFLのReading試験に関するETSからの発表は以下の通り:

 

新TOEFL Reading

 

Readingセクションでの旧TOEFLと新TOEFLを比べると

 

パッセージ数:3 or 4のまま変わらず
パッセージの長さ:変わらず
パッセージ及び問題の難易度:変わらず

 

1パッセージあたり問題数:13 or 14問 → 10問
(公式発表では旧TOEFLは“12-14“問となっているが、長らく12問では出題されていなかった)
1パッセージあたりの時間:20分 → 18分(トータルだと60-80分 → 54-72分)

 

 

以下、新形式でのReading問題での時間配分について。

 

3パッセージ:30問:54分 か 4パッセージ:40問:72分

 

のいずれかのパターンで出題されます。
4パッセージのときは1パッセージ分、採点されない問題(ダミー問題)が含まれます。
ダミー問題は何番目のパッセージか分かりません。

 

時間配分において皆さんが覚えるべきは

 

18分 → 36分 → 54分 → 72分

 

という18の倍数。試験の時間表示はカウントダウンなので

 

54分 → 36分 → 18分 (3パッセージのとき)

72分 → 54分 → 36分 → 18分 (4パッセージのとき)

 

と、3パッセージは54分から、4パッセージは72分からのスタートで考えてください。

 

最後の要約問題(Prose Summary Qs)と表完成問題(Fill in a Table Qs)を解く目安は2分。
それぞれのパッセージに対する制限時間である54、36、18の2分前を「最後のまとめ問題を除く9問」に与えられた時間として、以下の数字を意識しながら解くと、時間配分でのミスがなくなるでしょう。

 

3パッセージ

 問題 P1開始 P1 Q9 P1 Q10 P2 Q19 P2 Q20 P3 Q29 P3 Q30
時間 54分 38分 36分 20分 18分 2分  0分

4パッセージ

 問題 P1開始 P1 Q9 P1 Q10 P2 Q19 P2 Q20 P3 Q29 P3 Q30 P4 Q39 P4 Q40
時間 72分 56分 54分 38分 36分 20分 18分 2分  0分

 

Reading問題が何パッセージであるかは、Reading問題開始「前」の案内に表示されます。
例えば、4パッセージと分かったら、メモ用紙に上の数字を以下のように書くと

 

72、(56)、54、(38)、36、(20)、18、(2)

 

最後のまとめ問題の前の9問に対する制限時間はカッコ内の数字。
新TOEFLのReadingは1パッセージあたり10問なので、例えば今15問目を解答したなら、そのパッセージの問題の半分を解いたと分かります。
分かりにくいのは上に表示した時間だけなので、覚えてください。

 

 

2.Listeningはどう変わった?

 

ETSからの発表によると新TOEFLのListeningセクションでは、

 

Conversation「会話」の問題数は、変わらず2-3題のまま
Lecture「講義」が少なくなり、4-6題から1-2題減り、3-4題に
会話に対して5問、講義に対して6問は変わらず
問題が減ったのは講義だけだが、会話の中でアカデミックな内容を語るものが増えている

 

 

新TOEFL Listening変更点

 

 

TOEFL iBTが2005年9月に始まってから2019年7月までの14年間ほど、Listeningセクションの問題はずっと

 

Set 1:会話(5問)→ 講義(6問)→ 講義(6問)[制限時間:10分]
Set 2:会話(5問)→ 講義(6問)→ 講義(6問)[制限時間:10分]

 

または

 

Set 1:会話(5問)→ 講義(6問)→ 講義(6問)[制限時間:10分]
Set 2:会話(5問)→ 講義(6問)→ 講義(6問)[制限時間:10分]
Set 3:会話(5問)→ 講義(6問)→ 講義(6問)[制限時間:10分]

 

で出題され、それぞれのセットのパターンは「会話 + 講義 + 講義」で変わりませんでした。

 

3セットの場合は、1セット分が採点されない問題(通称、ダミー問題)が含まれていたのですが、長らくの間、Set 3で同じ問題が出題されることが多く、それがダミー問題であるとみなされていました。

 

中には、Listeningの3セット目は問題を聞かずに休憩時間に当てるという人もいらっしゃいました。
実は、私も3セット目を聞かずに適当クリックしたにも関わらず、Listeningスコアが30点だったことがあります。

 

それが新TOEFLでは以下のように変わりました。

 

<Listening 2セット(ダミーなし)の場合[Readingは4パッセージ(ダミーあり)]>

 

Set 1:会話(5問)→ 講義(6問)[制限時間:6分30秒]
Set 2:会話(5問)→ 講義(6問)→ 講義(6問)[制限時間:10分]

 

または

 

Set 1:会話(5問)→ 講義(6問)→ 講義(6問)[制限時間:10分]
Set 2:会話(5問)→ 講義(6問)[制限時間:6分30秒]

 

の2パターン。

 

<Listening 3セット(ダミーあり)の場合[Readingは3パッセージ(ダミーなし)]>

 

Set 1:会話(5問)→ 講義(6問)→ 講義(6問)[制限時間:10分]
Set 2:会話(5問)→ 講義(6問)[制限時間:6分30秒]
Set 3:会話(5問)→ 講義(6問)[制限時間:6分30秒]

 

または

 

Set 1:会話(5問)→ 講義(6問)[制限時間:6分30秒]
Set 2:会話(5問)→ 講義(6問)→ 講義(6問)[制限時間:10分]
Set 3:会話(5問)→ 講義(6問)[制限時間:6分30秒]

 

または

 

Set 1:会話(5問)→ 講義(6問)[制限時間:6分30秒]
Set 2:会話(5問)→ 講義(6問)[制限時間:6分30秒]
Set 3:会話(5問)→ 講義(6問)→ 講義(6問)[制限時間:10分]

 

の3パターン。

 

 

Readingで4パッセージ(のうち1パッセージがダミー)が出題された場合、Listeningは2セット。
しかし「2題 → 3題」「3題 → 2題」どちらのパターンかは事前に分かりません。

 

Readingが3パッセージ(ダミーなし)の場合、Listeningは3セット。
3パターンのどれになるか事前には分かりません。

 

Listeningが3セットのとき、3つの会話のうちの1つ、4つの講義のうちの1つがダミーになります。
ダミーは「会話 → 講義」の短いセットのどちらかかかもしれませんし、またはどこかの会話とどこかの講義がダミーになっている可能性もあります。
よって、新TOEFLでのListening問題はすべて全力で解くべきです。

 

Listeningにおける時間配分の目安は「会話:3分、講義:3分半」なので、以下を覚えましょう。

 

長いセット[10分]:会話(5問)→[残り7分]講義(6問)→[残り3分半] 講義(6問)
短いセット[6分半]:会話(5問)→[残り3分半]講義(6問)

 

 

3.Speakingはどう変わった?

 

TOEFL iBTが始まってからSpeakingセクションの問題はずっと

 

Task 1 & 2 [Speaking about Familiar Topics]
Task 3 & 5 [Speaking about Campus Situations]
Task 4 & 6 [Speaking about Academic Course Content]

 

と3つのカテゴリーから6問が出題されていました。

しかし新TOEFLでは上の旧Task 1と5がなくなり

 

Question 1(旧Task 2) [Speaking about a Familiar Topic]
Question 2(旧Task 3) [Speaking about a Campus Situation]
Question 3(旧Task 4) [Speaking about Academic Course Content]
Question 4(旧Task 6) [Speaking about Academic Course Content]

 

という4問になりました。

 

新TOEFL Speaking

 

問題形式は以前と全く変わりません。
今後は4つの問題タイプに対してSpeaking対策を行えばいいので、これまでと比べかなり準備がしやすくなりました。

 

4.Writingは変わらず

 

Writingの問題形式は以前と全く変わりません。
最初のIntegrated Task、次のIndependent Taskともに同じままです。

 

5.MyBestスコア

 

新TOEFLでのスコアレポートでは、受験日のスコア(下、左側)に加えて、MyBestスコアと呼ばれる、過去2年間でのセクション別のベストスコアとそれぞれの合計点(下、右側)が表示されるようになりました。

 

「過去2年間」でのTOEFL本試験のセクション別のベストスコアの合計点

「過去2年間」でのTOEFL本試験のセクション別のベストスコアの合計点

 

 

しかしながら、MyBestスコアが使えるかどうかは、皆さんの出願先の大学・大学院がMyBestスコアを認めるか次第。
ETSはこれまでの合計スコアと同様、マイベストスコアは英語運用能力を測定するものとして「valid(正当、有効)」であると発表しましたが、マイベストスコアを採用する大学は多くありません。

 

もしMyBestスコアで要求スコアを満たせば良いということになったら、例えば、

 

「ReadingとListeningは良い点が取れたから、今後はReadingとListeningの勉強は一切せず、SpeakingとWriting対策に集中し、MyBestスコアでの高得点獲得を狙う」  

 

というスコア獲得戦略が使えます。

 

6.スコアレポートでのSpeaking・Writingタスクに対するLevelの表示がなくなる

 

旧TOEFLでは以下のようにSpeaking・WritingセクションのTask別の評価(Level)を確認できました。
(以下、Official Guide 5th Edition、p. 24)

 

旧TOEFL Speaking Writing Levels

 

しかし、新TOEFLのスコアレポートでは、これらのSpeaking、Writingのそれぞれのタスクに対するLevel(評価)

 

Speaking:Good [3.5-4.0]、Fair [2.5-3.0]、Limited [1.5-2.0]、Weak [0-1.0]
Writing:Good [4.0-5.0]、Fair [2.5-3.5]、Limited [1.0-2.0]、Score of Zero[0]

 

が表示されなくなってしまいました。

旧TOEFLでは

 

Speaking:20点
Task 1 & 2 [Fair (2.5-3.0)]、Task 3 & 5 [Fair (2.5-3.0)]、Task 4 & 6 [Limited (1.5-2.0)]

Writing:22点
Integrated Task [Good (4.0-5.0)]、Independent Task [Fair (2.5-3.5)]

 

という結果なら、SpeakingはTask 4 & 6、WritingはIndependentを伸ばす余地があると分かりました。

しかし、新TOEFLでは

 

Speaking:20点
Writing:22点

 

というスコア表示だけに。

 

よって、Speaking、Writingではどのタスクの出来が良かったか、悪かったかが分かりません。
結果、どこが弱くてスコアを落としているかが不明なため、自分にとっての不得意なタスクの判断が難しくなりました。

 

確かに新TOEFLでの問題数の減少により、受験者にとっては集中しやすくなったり、対策がしやすくなるという利点はありますが、Speaking・Writingの各タスクの評価の不表示は非常に残念です。

 

7.最後に

 

上でお伝えしたように、新TOEFLになってすべてが良くなったわけではありませんが、問題数が少なくなり、30分ほど試験時間が短縮されたため、受験者にとっては最後まで集中力を保ちやすくなりました。

 

その点においてはTOEFL受験者にとってありがたいことです。

 

しかし試験が短くなって集中しやすくなったり、時間的に余裕が持てるようになったのは全受験者にとって同じなので、「新TOEFLではスコアが上がりやすい」ということはありません。

 

TOEFL iBTのスコアは全セクション、偏差値に基づいてスコアが算出されます。
よって「Reading・Listeningで正解率が高かった」「Speaking・Writingにおいてよい回答ができた」からといって、必ずしもよいスコアになるとは限りません。
他の人も良ければ、自分のよいパフォーマンスへの評価が下がるので。

 

以上、新TOEFLに変わって知っておくべきことすべてをお伝えしました。

 

コメント

  1. Yuko より:

    ご多忙のところ、失礼いたします。

    新形式のTOEFLになってから、SpeakingとWritingががくっと点数が下がりました。

    旧型式でSpeakingが22点だったのに、新形式では19点だったり、
    旧型式でWritingが25点だったのに、新形式では20点だったり。
    (ちなみに、GREのwritingで4.0を取れており、writingはできています。readingとlisteningは、新旧ともに28点以上取れています)
    以前より明らかに出来がいい、という自信作(?)の回答をしたにも関わらず、点数が下がっています。

    旧型式と新形式で、難易度や採点方法が変わったのでしょうか。採点する問題数が減ったことで、1問が占めるウェイトが重くなったから、採点がシビアになった、ということでしょうか。
    お忙しいところ恐縮ですが、教えていただけると幸いです。

  2. Katsurayama より:

    Yukoさん

    まずWritingは新形式になって、何も変わっていません。
    よって、新形式になったからスコアが下がるということはありません。
    何か別の理由があるはずです。

    例えば以下のような理由でIndependentタスクの評価点が2になったら、Integratedが4でも平均は3になり、20点あたりのスコアになりえます。

    https://tofure.com/?p=19955

    https://tofure.com/?p=19482

    しかし特にそのようなことはないなら、今回はたまたまパフォーマンスが下がったせいなのかもしれません。

    Speakingですが、22点が19点になるのは問題が異なることによる誤差の範囲と考えます。
    Speakingは6問が4問へと減りましたが、これまで多くの方々からいただくご報告から「新形式になってスコアが上がった/下がった」ということはないと判断しています。

    よって「採点がシビアになった」とは全く感じていません。
    また他の受講生の方々からそのような感想をいただいていもいません。

    スコアは受験のたびに上下します。
    今回はたまたま低めのスコアになっただけで、次回には上がるかもしれません。

    Katsurayama

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